便秘症
便秘症
便秘は頻度の高い症状の一つであり、高度の便秘があるとQOL(生活の質)の低下を招きます。実は、医学的な便秘の定義は「毎日出ないこと」だけではありません。日本消化器病学会関連のガイドラインでは、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。
つまり、以下のようないずれかの状態があれば、それは便秘と言えます。
毎日お通じがなくても、ご本人がスッキリしていて不快感がなければ、必ずしも治療を急ぐ必要はありません。一方で、毎日出ていてもウサギのフンのようなコロコロとした硬い便しか出ず、お腹の張りが続く場合は治療の対象となります。便秘は我慢するものではなく、適切な治療によって改善できる症状です。
便秘の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると「腸の働きや習慣によるもの(機能性便秘)」と「病気や薬が原因となっているもの(器質性・症候性便秘)」の2つに分類されます。
便秘の大部分を占めるのがこのタイプです。さらに以下の3つに分けられます。
腸の動き(ぜん動運動)が弱く、便が腸内をゆっくり進むため、水分が吸収されすぎて便が硬くなってしまうタイプです。ご高齢の方や、極端なダイエットをしている若い女性に多く見られます。
腸の動きは正常ですが、食事の量や食物繊維、水分の摂取不足が原因で便の量が少なくなり、排便が滞るタイプです。
腸までは便がスムーズに運ばれてくるのに、直腸から肛門にかけての筋肉(骨盤底筋など)がうまく連動せず、出口で便が詰まってしまうタイプです。日頃から便意を我慢する習慣がある方に多く見られます。
こちらは早急な対応が必要になることがあるタイプです。
大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患などにより、腸管が狭くなって物理的に便が通りにくくなっている状態です。特に「急に便秘になった」「便の形が細くなった」「血便が出る」「体重が減った」という場合は注意が必要です。
糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの全身疾患の症状として便秘が現れることがあります。
精神安定剤、抗うつ薬、一部の降圧薬、咳止め、痛み止めなどの副作用として便秘が起こることがあります。
便秘の診療において最も大切なのは、「危険な病気が隠れていないか(器質性便秘ではないか)」をしっかりと見極めることです。当院では、患者さんの症状に合わせて以下のような検査をご提案しています。
お腹にどれくらいガスや便が溜まっているかを視覚的に確認します。迅速に現在の腸の状態を把握できるため、初診時によく行われます。
甲状腺の異常や糖尿病など、便秘の原因となる全身の病気がないかを調べます。また、大腸がんなどによる見えない出血で貧血になっていないかを確認することも重要です。
お腹の中の臓器全般を調べます。腸壁の厚さや、腸の周りに異常がないかを確認します。
肛門から内視鏡を入れて、大腸の内側の粘膜を直接観察します。大腸がんやポリープ、炎症がないかを確実に診断できる最も重要な検査です。特に40歳以上の方でこれまで一度も大腸カメラを受けたことがない方や、最近になって急に便秘がちになった方、血便がある方には強く推奨しています。当院ではなるべく検査の際の負担を少なくするために鎮静剤(眠り薬)を用いた検査を行っています。
便秘の治療には生活習慣の改善および薬物療法があります。
生活習慣の改善だけで不十分な場合は、お薬の力を借ります。近年、便秘の治療薬は画期的な新薬が次々と登場し、選択肢が大きく広がりました。
便秘薬については当院の医療コラムでも紹介していますのでご覧ください。
便秘は患者さんによって原因も違えば、合うお薬も異なります。
「市販薬を飲んでもスッキリしない」「薬をどんどん増やさないと出ない」という方は、一人で悩まずにぜひ一度、消化器内科にご相談ください。当院ではご要望に応じて検査を行い、便秘のタイプによって適切な薬をご提案させていただきます。
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