機能性ディスペプシア(FD)|滋賀県大津市の内科・消化器内科・リハビリテーション科|日吉台診療所

〒520-0112滋賀県大津市日吉台4丁目15−1
077-579-3833
ヘッダー画像

機能性ディスペプシア(FD)

機能性ディスペプシア(FD)|滋賀県大津市の内科・消化器内科・リハビリテーション科|日吉台診療所

機能性ディスペプシア(FD)とは

機能性ディスペプシア(FD)とは

「胃がもたれる」「みぞおちが痛い」「少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになる」
こうした胃の不調を感じて病院を受診し、胃カメラ(内視鏡)などの検査を受けたものの、「特に異常はない」と言われたことはないでしょうか。
以前は「病気ではなく気のせい」などと言われ、様子を見るように言われることが多かったのですが、近年では機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)という病気が原因であることがわかっています。
機能性ディスペプシアとは、胃カメラなどの検査をしても、がんや潰瘍といった目に見える異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に胃もたれや胃痛などのつらい症状が続く病気です。
日本人の10人に1人はこの病気にかかっているとも言われる非常にありふれた病気ですが、生活の質(QOL)を大きく低下させる要因となるため、適切な診断と治療が必要です。

機能性ディスペプシア(FD)の原因

過敏性腸症候群と同様に、はっきりとした原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
主な原因として以下の3つが挙げられます。

胃の運動機能の異常

健康な胃では食事をためる袋の様な機能を有しており、消化した上で腸へと送り出すようになっています。機能性ディスペプシアの方の胃ではこのためて送り出す機能が乱れていることがあります。胃がうまく広がらないため、すぐに満腹感を感じてしまったり(早期満腹感)、逆に胃の動きが悪く食べ物が長時間胃に留まることで、重苦しい胃もたれを感じたりします(胃排出遅延)。

胃の知覚過敏

胃の粘膜が神経過敏になっている状態です。健康な人であれば何とも感じないような、ごく普通の胃酸の分泌や、食べ物による胃の膨らみといった刺激に対して、脳が「痛み」や「不快感」として過剰に反応してしまいます。少量の食事でもお腹が張って苦しく感じたり、正常な範囲の胃酸でも焼けるような痛みを感じたりするのは、この知覚過敏が関与しています。

ストレスと「脳腸相関」

胃腸と脳は自律神経を介して密接につながっており、これを脳腸相関と呼びます。精神的なストレスや不安、過労などが続くと、自律神経のバランスが乱れます。脳がストレスを感じると、その信号が胃に伝わり、胃の運動を止めたり、知覚を過敏にさせたりします。反対に、胃の不調が続くと、それが脳にとってのストレスとなり、さらに症状を悪化させるという悪循環に陥ることがあります。真面目で几帳面な方や、心配性な方に多く見られる傾向があり、精神疾患を合併している例もあります。その他、ピロリ菌感染や、感染性胃腸炎にかかった後の後遺症、遺伝的要因、喫煙、高脂肪食なども原因の一部として考えられています。

機能性ディスペプシア(FD)の症状

症状は人によって様々ですが、大きく分けて「食後の不調(食後愁訴症候群)」と「みぞおちの痛み(心窩部痛症候群)」の2つのタイプに分類されます。これらが混在している患者さんも少なくありません。

食後の不調(食後愁訴症候群)

食事をした後に、食べたものがいつまでも胃に残っているような、重苦しい感じが続きます。また、食事を始めてすぐに満腹感を感じてしまい、通常の量の食事が食べきれなくなります。これにより、体重が減少してしまう方もいます。お腹は空くのに、食べ始めるとすぐに入らなくなるという症状が特徴的です。

みぞおちの痛み(心窩部痛症候群)

みぞおちの部分に痛みや焼けるような症状のことを言います。食事の前後に関わらず症状が出ることがあり、吐き気やげっぷ、食欲不振などが現れることもあります。

機能性ディスペプシア(FD)の検査

機能性ディスペプシアの診断で最も重要なことは、他の重大な病気が隠れていないか確認することです。胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍も、全く同じような症状でみつかることがあるためです。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

この病気の診断には必須の検査です。口や鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察します。ここで、がん、潰瘍、びらん(粘膜にできた浅い傷)などの目に見える病変がないことを確認します。

ピロリ菌検査

ピロリ菌に感染していると、胃の炎症や消化不良を引き起こすことがあります。ピロリ菌がいる場合は、まず除菌治療を行います。除菌によって症状が改善する場合は「ピロリ菌関連ディスペプシア」として扱われ、除菌後も症状が残る場合に「機能性ディスペプシア」と診断します。

血液検査・腹部超音波(エコー)検査

みぞおちの近くには胃の他に肝臓や胆のう、膵臓など複数の臓器があります。必要に応じて血液検査、腹部エコー検査を用いて胃以外の臓器に異常がないかを確認します。

機能性ディスペプシア(FD)の治療

治療の目標は、症状をゼロにすることに固執するのではなく、つらい症状をコントロールし、日常生活に支障がない状態を目指すことです。検査を行うことでがんなどの命にかかわる病気はないことを理解するだけで、安心感から症状が和らぐ方もいらっしゃいます。治療は主に「生活習慣の改善」「食事療法」「薬物療法」の3本柱で行います。

生活習慣の改善

  • 十分な睡眠と休息
    睡眠不足は自律神経の乱れに直結し、胃の働きを悪くします。
  • ストレス解消
    趣味の時間を持ったり、入浴でリラックスしたりして、ストレスを溜め込まない工夫をしましょう。
  • 禁煙
    タバコは胃の血流を悪くし、胃酸の逆流を招きやすいため、禁煙をお勧めします。
  • 節酒・断酒
    飲酒も胃の中の環境を悪くする一因となります。定期的に飲酒をされている方は量や飲む頻度を減らすことが必要です。

食事療法

胃に負担をかけない食べ方を心がけましょう。

  • 規則正しい食事
    朝食を抜くなどの不規則な食事は、胃のリズムを狂わせます。1日3食、バランスの良い食事を心がけましょう。
  • 腹八分目
    満腹まで食べると胃に負担がかかるため、満腹の少し手前に止めることが勧められます。
  • 刺激物を控える
    脂っこい食事(揚げ物など)、激辛料理、カフェインは胃酸の分泌を増やしたり、胃の動きを悪くしたりするため控えましょう。

薬物療法

生活習慣の見直しだけでは改善しない場合、症状に合わせてお薬を使用します。

  • 消化管機能改善薬(アコチアミドなど)
    胃の動きを活発にし、食べ物をスムーズに十二指腸へ送り出す働きを助けます。特に「食後の胃もたれ」や「早期満腹感」に効果が高い、世界で初めて日本で開発されたお薬です。
  • 酸分泌抑制薬(PPI、P-CAB、H2ブロッカー)
    胃酸の分泌を強力に抑えるお薬です。「みぞおちの痛み」や「焼けるような感じ」が強い場合に特に有効です。
  • 漢方薬
    西洋薬とは異なるアプローチで、胃の働きだけでなく、全身の状態や体質を整えます。特に「六君子湯(りっくんしとう)」という漢方薬は、胃の動きを改善し、食欲不振や胃もたれに効果があることが科学的にも証明されています。
  • 抗不安薬・抗うつ薬
    ストレスや不安が強く、脳腸相関の悪循環が強いと考えられる場合には、脳の過敏性を和らげるために少量使用することがあります。

まとめ

機能性ディスペプシアは「気のせい」ではなく、適切な治療が必要な病気です。
「検査で異常がないから我慢するしかない」と諦める必要はありません。近年、良いお薬も登場しており、患者さんに合った治療を行うことで、多くの方が快適な食生活を取り戻されています。
当院は大津市で苦痛の少ない胃カメラ検査(鎮静剤の使用など)を行っている医療機関であり、がんなどの重大な病気がないかをしっかり確認した上で、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療方針をご提案します。長引く胃の不調でお悩みの方は、お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

トップに戻る