過敏性腸症候群|滋賀県大津市の内科・消化器内科・リハビリテーション科|日吉台診療所

〒520-0112滋賀県大津市日吉台4丁目15−1
077-579-3833
ヘッダー画像

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群|滋賀県大津市の内科・消化器内科・リハビリテーション科|日吉台診療所

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群とは、大腸カメラなどの検査をしても、がんや炎症といった異常所見が見つからないにもかかわらず、腹痛やお腹の不快感を伴う便通異常(下痢や便秘など)が起こる病気です。
過敏性腸症候群の方の腸は腸の動き(蠕動)の調節に支障を来したり、刺激に対して非常に敏感(知覚過敏)になっていたりします。そのため、健康な人なら何ともないようなわずかな刺激でも、腹痛や便通の異常として感じやすくなってしまうのです。
検査で異常がなくても病気ではないとは限りません。過敏性腸症候群とは腸の機能に問題が起きている状態であり、適切な対処や治療が必要な病気です。

過敏性腸症候群(IBS)の原因

過敏性腸症候群のはっきりとした原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、一つの原因ではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

ストレスと「脳腸相関」

私たちの脳と腸は、自律神経などを介して密接に連携しており、これを「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼びます。不安やプレッシャーといった精神的なストレスを感じると、脳がその信号を腸に伝え、腸の運動に異常を引き起こします。逆に、腸の不調が脳に伝わり、さらに不安を増大させるという悪循環に陥ることも少なくありません。「大事な場面でお腹が痛くなる」という場合にはこの脳腸相関が関係しています。

腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れ

私たちの腸内には、多種多様な細菌がバランスを保ちながら生息しています。この細菌の集まりを「腸内細菌叢(腸内フローラ)」と呼びます。食生活の乱れやストレス、抗生物質の使用などによってこのバランスが崩れると、腸の機能に影響を与え、過敏性腸症候群の症状を引き起こす一因になると考えられています。

感染性胃腸炎の既往

ウイルスや細菌による感染性胃腸炎(食中毒など)にかかった後、腸の粘膜が過敏な状態になり、それがきっかけで過敏性腸症候群を発症することがあります。これを「感染後IBS」と呼びます。

生活習慣の乱れ

不規則な食事時間、睡眠不足、運動不足といった生活習慣の乱れは、自律神経のバランスを崩し、腸の機能を不安定にさせる要因となります。腸内環境を良化するためには毎日3食を規則正しく摂り、飲酒や刺激物の摂りすぎは控えることが必要です。

過敏性腸症候群(IBS)の症状

主な症状は、腹痛や腹部の不快感、そしてそれに伴う便通の異常です。これらの症状の現れ方によって、いくつかのタイプに分けられます。

下痢型

突然やってくる強い便意(腹部切迫感)と、泥状便や水様便が特徴です。1日に何度もトイレに駆け込むため、外出や乗り物に乗ることに強い不安を感じる方が多くいます。男性に比較的多いタイプです。

便秘型

便が硬く、ウサギの糞のようにコロコロになるのが特徴です。強くいきまないと便が出なかったり、排便後も便が残っている感じ(残便感)があったりします。女性に比較的多いタイプです。

混合型(交代型)

下痢と便秘を数日おきに繰り返します。便の状態が不安定で、お腹の調子が予測できないため、悩んでいる方が多いタイプです。

分類不能型

上記のいずれにもはっきりと当てはまらないタイプです。これらの便通異常に加えて、お腹がゴロゴロ鳴る(腹鳴)、おならが頻繁に出る、お腹が張って苦しい(腹部膨満感)といった症状を伴うことも少なくありません。また、頭痛、めまい、吐き気、気分の落ち込みなど、お腹以外の症状が現れることもあります。

過敏性腸症候群(IBS)の検査

過敏性腸症候群は症状が似ている他の病気の可能性を除外していくことで診断を行います。なぜなら、腹痛や便通異常は、大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)といった、より緊急性の高い治療が必要な病気のサインである可能性もあるからです。
安心して治療を進めるために、以下のような検査が行われます。

1問診

最も重要な検査です。どのような症状が、いつから、どんな時に起こりやすいか、食事や生活習慣、ストレスの状況などを詳しく聞き取りを行います。

2血液検査

血液検査で貧血や炎症の有無などを調べ、他の病気が隠れていないかを確認します。特に大腸がんでは貧血が、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患では炎症反応の上昇がみられることがあります。

3大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

下痢が持続している方には大腸カメラでのスクリーニングをお勧めします。特に40歳以上の方や、急な体重減少、血便などの「警告症状」がある場合には大腸がんの除外が必要です。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察して、ポリープやがん、炎症がないことを確認します。この検査で異常がないことが確認できれば、過敏性腸症候群の可能性がより高くなります。

過敏性腸症候群(IBS)の治療

過敏性腸症候群の治療目標は、病気を根治させることよりも、つらい症状をコントロールし、症状とうまく付き合いながら、日常生活を過ごすことです。まずは生命に関わる病気ではないことをご理解いただき、不安を取り除くことが肝心です。その上で「生活習慣の改善」「食事療法」「薬物療法」の3本柱を組み合わせて治療を行います。

生活習慣の改善

  • 十分な休息と睡眠
    規則正しい生活を心がけ、心と身体をリラックスさせましょう。
  • 適度な運動
    ウォーキングなどの軽い運動は、腸の動きを整え、ストレス解消にも効果的です。
  • ストレスマネジメント
    趣味の時間を作る、リラックスできる音楽を聴くなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。

食事療法

まずは、1日3食を規則正しく、バランスよく食べることが基本です。その上で、以下の点を試してみましょう。

  • 暴飲暴食、脂っこい食事、過度のアルコールや香辛料、カフェインの摂取を避ける。
  • 下痢型の人は、冷たい飲み物などを控える。
  • 便秘型の人は、水分と食物繊維(野菜、きのこ、海藻など)を意識して摂る。

薬物療法

生活習慣や食事を見直しても症状が改善しない場合は、内服薬による治療を行います。患者さん一人ひとりの症状のタイプや強さに合わせて、薬の内容を調整します。

  • 消化管機能調節薬
    腸の運動の異常を整え、腹痛や便通異常を改善します。
  • プロバイオティクス
    腸内の細菌叢を正常化させることで病原菌の発生を抑制します。
  • 高分子重合体
    便の水分バランスを調整する薬です。便が硬い場合は水分を保持して軟らかくし、緩い場合は余分な水分を吸収して固めるため、下痢型・便秘型ともに使われます。
  • 下剤(便秘型向け)
    酸化マグネシウムなどの便を軟らかくする薬や、腸を刺激して排便を促しつつ、腹痛を抑制してくれる新しいタイプの下剤があります。
  • セロトニン5-HT3受容体拮抗薬(下痢型向け)
    腸の知覚過敏を抑え、急な下痢や腹痛を改善する効果が期待できます。
  • 抗不安薬・抗うつ薬
    ストレスや不安が症状の大きな原因となっている場合に、脳に働きかけて腸の過敏性を和らげる目的で使われることがあります。

まとめ

過敏性腸症候群でお困りの方は痛みに対して過敏になっている傾向があるため検査を受ける際にも不安を感じられる方が多いです。当院は大津市で鎮静剤を用いて胃カメラ・大腸カメラが可能な数少ない医療機関です。便の悩みは他人に相談しづらい症状の一つですが、早めに診断・治療を行うことで日常生活を快適に過ごせるようになります。まずはお気軽にご相談ください。

トップに戻る